電力に限らず、これからの時代は資源制約の影響が
大きくなっていくと私は考えます。私たちが扱う木材も
同じです。木材は再生可能な資源ではあっても、
資源量には限りがあります。質の問題もあり、
後から出てくる木材の質が以前より良くなることは
まずないといっていいです。
ますます強くなる制約の中でどうしたらよいか。
私は、「何とかして役に立ちたい」と考えて行動する
ことから道は開けると考えます。
「何とかしてお客様の役に立ちたい」
「何とかして仲間の役に立ちたい」
「何とかして周囲の役に立ちたい」
という思いから、どうやったら制約の中で工夫して
役に立てるかを考えて行動することが、将来への道を
開くのではないでしょうか。
制約の中で資源を最大限活用するためには、
きめ細やかさが必要です。今ある資源をどう使ったら
最大限に使えるか。どれだけ相手の立場で考えられるかが
お客様の印象を大きく左右します。天然資源に対して
恥じることなく、なおかつお客様に満足していただける
使い方を追求するのが当社の方針である
「木材の最大経済活用」です。資源制約が強くなる中でこそ、
「木材の最大経済活用」は欠かせないと私は考えます。
自分のことを思ってくれていると思う人には、
何かしてあげたくなるものですし、
「こんなことできますか」と聞いてみたくなるものです。
周囲から「こんなことできますか」がどれだけ引き出せるかが
その人の実力を表していますし、出てきたものに対して
どれだけ「何とかして役に立ちたい」と考えて行動できるかが、
その人の成長の原動力になるだけではなく、積み重なって
当社の将来を大きく左右します。
「何とかして役に立ちたい」という熱意は人を動かします。
小学校や保育所の現場で「特殊な形状の羽目板はできますか」
という要望にお応えしてお客様に喜んでいただきましたし、
当社の楽天市場店が多くのお客様から好意的なレビューを
いただいているのも、「何とかしてお客様の役に立ちたい」
という熱意の表れです。
これから制約が強くなる時代がきます。制約の中でも、
「何とかして役に立ちたい」と考えて行動すれば道は必ず開けます。
誰がやっても同じではないから、存在価値も面白味もあると考えて、
一緒に進んでいきましょう。
お客様に「こんなことできないか」と言っていただける関係をつくるには、
私たち一人一人が
「今までやったことはないけれど面白そうだからまずやってみよう」と思う
新奇歓迎の感情を持ち続けることが欠かせません。
そして、新奇歓迎の感情の基本は、自分を産み育ててくれた両親やご先祖様、
周囲への感謝です。
周囲に感謝する気持ちは、周囲のために貢献したいという気持ちの
もとになります。前例のないことに直面したときに、周囲のために
貢献するにはどうやったらできるだろうかと考えて行動するようになります。
仕事には必ず期限がありますし、制約もあります。
時には自分にとって不利な期限や制約もでてきます。
不利な期限や制約の中でもどうやったらできるだろうかと工夫して
できるようになれば、成長実感を味わうことができます。
実際には、期限や制約があるから成長できるのだと私は思います。
当社で取り組んでいる手加工もその一つです。
最初は時間をかけてやってみても失敗してしまう場合もありますが、
何度もやってみるうちにできるようになってきます。
精度が上がってくれば加工している自分もうれしいですし、
お客様からも「こんなにいい精度で加工してくれるのか」と
喜んでいただけると、なおうれしいものです。
ただ言われたことをやるのではなく、
どうやったら期限や制約を克服できるか、
自分で考えて工夫してやってみて、失敗したら周囲とも相談して、
また考えて工夫してやってみる。その繰り返しこそが
私たち自身の仕事を面白くするのではないでしょうか。
私たちの仕事は感動できる仕事だと思いますし、
日々の研鑽を積み重ねていけば周囲に感動を与えることの
できる仕事です。どうやったらできるだろうかと日々考えて
行動する道は決して楽な道ではないし、
確証のある道ではありません。
しかし、日々の仕事の中で感動することができれば、
すばらしい人生を歩むことができると私は思います。
感動は疲れを吹き飛ばすほどの大きなエネルギーをもっています。
私は、社員・関係者の皆さんにも、新奇歓迎の基本となる
ご両親、ご先祖様、周囲への感謝を再認識して、感動の多い、
生きていてよかったと思える人生を歩んでいただきたいと心から願います。
工場の生産体制変更、材料置き場の更新、
製品の梱包体制変更、配送体制の変更、
Kintoneの導入、楽天市場での販売開始、
新規お客様との取引開始など、
今年仕事の変わらなかった社員はいないと言いきれるほど、
当社の方針「木材の最大経済活用」に沿った、
たくさんの変化がありました。
私が感心するのは、変更した体制が元に戻らずに
すべて維持されていることです。
たとえば、更新された材料置き場は
社員の皆さんによって状態が維持されています。
工場見学の際にお客様に見ていただきたいポイントが
1年前とは明らかに違います。
気候が変化しても人間の体温が安定しているように、
人には恒常性(ホメオスタシス)があり、
強力に現状維持をしたがる性質があります。
何か変化が起きたときに、
「元のやり方のほうがやりやすいから戻したい」
という意識は誰にでもあるものです。
それにもかかわらず変更した体制が維持されているのは、
自分の中の恒常性から来る意識に負けずに
変化を続けた社員のみなさんのおかげです。
今後、木材業界はさらに大きな変化が予想されます。
今までの変化は序章にすぎないと私はみています。
将来何が起きるかは誰にもわかりません。
しかし、一つだけわかっていることがあります。
それは、恒常性に負けずに
変化に対応していこうとする姿勢があれば
どんな時代でもやっていけるということです。
元には戻らない。変化への対応をし続ける。
これだけの変化に対応してきた皆さんと一緒なら、
きっとできる。
私にとって今期は、
今後やっていけるなと思える手応えを感じた年でした。
こんな気持ちになれたのも、
社員・関係者のみなさんのおかげです。ありがとう。
今後もぜひ力を貸してください。
私は当社の将来が楽しみです。
変化の激しい現代、変化に対応しようとして
やったことのない仕事に取り組んでいく姿勢は欠かせません。
やったことのない仕事に取り組んでいく中には、
過ちによる失敗も出てきます。
たとえ過ちによる失敗があったとしても、
将来に生かすことができれば意味があると私は考えます。
人の過ちを批判するときに、
誰もがもっている二つの尺度があります。それは、
人のすることはとても悪い
自分のすることはさほど悪くない
です。
自分以外の人の過ちを批判する尺度と、
自分の過ちを批判する尺度とは全く違います。
「私は、他人に指摘されるようなことはしていません」
と思っている人も多いでしょう。
それは、二つの尺度をもっているからそう思うのです。
私も二つの尺度をもっていると思います。
私は口から飲み込む空気が多いせいか、
おならがよく出ます。人前でも大きな音で
多くのおならを出す時期がありました。
人前でおならを出すことを、自分ではさほど悪くないと
思っていましたが、周囲からみるととても悪いと思われます。
今はお医者さんから処方された胃腸内のガスを取り除く薬を
毎日飲んでいますので、おならを出す音も回数も減りました。
過ちによる失敗があったとき、
「自分が同じ過ちをしたら周囲はどう思うだろうか」
という視点をもつことができるようになると、
他人の過ちに対しての視点が変わってきます。
他人に対する批判と自分に対する批判の度合いを
近づけようと努力する姿勢が、
周囲の共感を呼ぶのだと私は考えます。
誰もが
「人のしたことはとても悪い」
「自分のしたことはさほど悪くない」という
二つの尺度をもっています。
私たちの思考の中にある二つの尺度に気づいて、
自分の、他人の理解に役立つことを期待します。
状況変化の激しい現代では、昨日まであたりまえに行われていたことが今日は変わることがよくあります。真冬に窓を開けていたら「寒いから閉めて」と言っていた人が、「感染防止のために換気しなければ」として常時窓を開けているのが一つの例です。
私たちは変われますかと常に問われ続けています。今できるかできないかよりも
まずは変化に対応していこうという姿勢のほうがはるかに大切で、変化に対応していけずに自分のやり方に固執すると、人も会社も時代からどんどん遅れていきます。
私が後世に伝えたいのは、木材を扱う仕事の中で培われる
・自然が長年育んできた命(=木材)を大切にする心
・私たちが生きている今日の環境を作ってきた諸先輩に感謝し、
将来の世代によい環境を作る心 です。
当社が提供しているのは製品(モノ)だけではありません。木材が育ってきた物語や
製品を作る私たちの心(コト)も提供しています。
当社が掲げる
木材の最大経済活用 施工しやすい・注文しやすい つたわるきづかい は
すべてが木材・環境に対する感謝の気持ちから出ています。
私たちのありたい姿は、常に変化に対応していこうとする姿勢が表れた行動です。何が起こっても姿勢の基本になる環境や周囲に対する感謝の気持ちをもって考える。それが自己都合から来る「めんどくさい」を超えて、私たちの幸せにつながる道です。
何が起こるかわからない現代に対応できるのは、今生きている私たちだけです。自分の生きる時代を「めんどくさい」と思うのではなく、木材・環境に対する感謝の気持ちをもって前向きに取り組み、次の世代につながる将来を一緒に作っていきましょう。
新型コロナウイルスは今までの前提を崩し、
状況を一変させました。急激な感染拡大の後には
急激な感染縮小が来ると予想されていますが、
今は感染拡大防止のために
全力をあげて対応する時です。
「先憂後楽」という言葉があります。
上にたつ者の心得を述べた言葉で、
常に民に先立って国のことを心配し、
民が楽しんだ後に自分が楽しむという意味です。
転じて先に苦労・苦難を体験した人は
後に安楽になれるという意味でも使われます。
私は、あなたは変われますか、
会社は変われますかと
時代に問われていると感じます。
新型コロナウイルス対応は、自分にとって
不都合だと思える変化への対応も含めて
長年の習慣を変えるいい機会だと
とらえて行動してください。
いつまでも今の状況が続くわけではありません。
今動いておけば、新型コロナウイルスが
急激に感染縮小したとき、一過性のものだからと
何もせずやり過ごした人とは大きな差が出ます。
動いていれば不安は消えます。
先に全体がどうやったらよくなるかを
考えて行動すれば、後で個人の楽しみが
やってきたとき「本当によかった」と
心の底から感じられます。
今だから、できる。
新型コロナウイルスで前提が大きく変わった今、
「先憂後楽」の気持ちをもって感染縮小後に
どうなりたいかを考えて行動しましょう。
皆さんが「やってよかった」と思える
将来をつくるために私も動きます。
木材が高騰した中でも初めての挑戦が続きました。大型パネルに杉4面薄背割り柱材を使用して杉無垢材利用の可能性を示しましたし、楽天市場に出店して木材の販売を始めました。初めての仕事の中ではやってみなければわからないことがたくさんありましたが、試行錯誤の中でも今月楽天市場店が売り上げ目標を無事達成することができたのは箱詰めなどの作業を総出で手伝ってくれた社員の皆さんのおかげです。ありがとう。
初めての仕事に限りませんが、仕事をしている上でトラブルはかならず発生します。特に正解のない時代において、トラブルや予想外の事態が起きることは、単なるビジネスの前提にすぎないですし、これからの時代では当たり前のように起きます。時には不慣れなことをやらなければよかったと思うこともあるでしょう。予想外の事態が起きたときに心に言い聞かせる言葉が「それはちょうどよかった」です。
本来、「それはちょうどよかった」は自分にとって好都合なときに使う言葉です。しかし、予想外の事態が起きたときに「それはちょうどよかった」と自分に言い聞かせると、自分にとって都合の悪い、今までに遭遇したことのない状況に対してもどうやったらこの状況を改善できるか、まずやってみようという前向きな気持ちになります。
今年の夏、プレカット工場3社が「材料が調達できない」として断った物件を何とかして建てられないだろうかという依頼がありました。巾120mmの部材を使う物件で、材料調達とプレカット工場の工程確保に相当な困難がありましたが、「それはちょうどよかった」と心に言い聞かせて前向きな気持ちで取り組んだ結果、材料とプレカット工程を確保することができて、2022年1月に上棟することになりました。
変化の激しい時代を生きていく中での人生には苦痛はあって当たり前ですし、ビジネスでは大変なことが起きるのが当たり前だと私は思います。むしろ大変なことが起きるなら楽しもうという柔軟な姿勢をとったほうが、良い人生を送ることができます。
会長からよく言われた言葉の一つに、「逃げていくものは大きくなる。向かっていくものは小さくなる」があります。予想外の事態が発生したときに向かっていくことができた案件については、自社にとって良い結果がついてくることが多いです。
来年も脱炭素、グリーンフレーションをはじめとして大きな変化が起きると予想されます。当社にとって好都合な変化も、不都合な変化も起きるでしょう。不都合な状況が訪れたときにも、「それはちょうどよかった」と心に言い聞かせて柔軟な姿勢をとれるように、新奇なものにも日頃から積極的に取り組んでいきましょう。
今年1年ごくろうさまでした。2022年が皆さんにとってよい年でありますように。
この1年間、システム開発を担当した関係者のみなさんはすべての商品を
例外なくシステムに乗せるために、一つずつ細部を詰める地道な作業を
続けてきました。その甲斐あってシステムが稼働し、
軌道にのりつつあります。これまでの関係者のみなさんの努力に
心から敬意を表します。ありがとう。
kintoneが導入されると入力したデータが蓄積されます。
納品書や請求書の発行が自動化されるだけではなく、
データ検索や分析が格段にやりやすくなります。
会計ソフトや受注表とデータ連携ができれば、
社員のみなさんにとってさらに使いやすく、
価値のあるシステムになります。
kintoneはクラウド上にデータがあり、
どこからでもアクセスできます。
社外にいても情報を得ることができて、
社員間で情報を共有しやすくなります。
変化の速い現代では、刻々と状況が変化していきます。
いままでの経験則が通じないことも多く、
どんなに知識や能力があったとしても
一人の力では対応しきれない状況が
次々と発生すると私は考えています。
変化に対応するためには、社内に対して情報を表に出すことが
必要です。情報が伝わった人は味方になってくれることが
多いですし、情報は出せば出すほど集まってきます。
情報が集まってくると情報の精度があがり、
仕事がやりやすくなります。
大切なのは困ったとき、失敗したときに情報が表に出ることです。
たとえば、手違いで材料が余ってしまったときに
余った材料の情報が表に出て周囲に伝われば、
他の現場で使うことができるかもしれません。
情報が伝わる範囲が広がれば広がるほど、
困りごとが解決する可能性も高くなります。
困った、失敗した情報が社内に出たときには
ぜひ好意的に接してください。
好意的に接する人のところには情報が集まりますし、
自分が困ったときに解決する可能性も高くなります。
情報は、表に出す。皆さんの人生を
普段の姿勢から明るくしていきましょう。
旭山動物園には動物の生態について記した手書きの看板がたくさんあります。その中でも私が一番印象に残った看板は「ホッキョクグマを見終えたあなたへ」です。
私はこの看板に、旭山動物園が出している「地球環境は今のままでは続かない。
ひとりひとりの生活姿勢を見直してほしい。」というメッセージを感じます。
世界中で脱炭素(二酸化炭素(CO2)排出削減)が政策として打ち出されています。
石炭や石油などの化石燃料を現状のまま使い続けていたら地球環境は続きません。
脱炭素のために、世界中で石炭・石油使用量の削減が始まっています。中国ではCO2排出削減のために石炭火力発電所の稼働を減らして深刻な電力不足が発生しましたし、ヨーロッパでは石炭・石油依存が減少したために天然ガスの価格が過去最高値に暴騰しました。
脱炭素に向けた動きの中で物価が上昇することを「グリーンフレーション」といいます。日本でも石炭・石油だけではなく、製造時に大量のエネルギーを消費する金属製品や、石油化学製品が値上がりしています。ガソリン価格が値上がりしているのも「グリーンフレーション」の影響です。
一方、無垢の木材は製造時に使うエネルギーが小さい上に使用時に炭素を固定しますから、無垢の木材を建築に使えば脱炭素に大きく貢献します。しかも、伐採した跡に植林をすればCO2固定に役立ち、後の世代が使用可能な資源を残すことができます。
当社の方針は「木材の最大経済活用を目指す」です。同じ原材料の中からできるだけ多くの価値を生み出すことが、森林の有効利用につながり、持続可能な社会づくりに貢献します。
もちろん、製品の質はお客様に厳しく要求されます。石油化学製品に代表される工業製品を使っていたお客様に、「無垢の木材でも十分使えるよ」と言っていただけるだけの品質、寸法精度が求められます。お客様の求める基準を満たした製品を作りつづけることができれば、これからの時代において主要資材になれると私は考えます。
脱炭素の時代こそ当社の出番です。木材の最大経済活用を目指し、持続可能な社会づくりに貢献することによって、私たちの暮らしが豊かになることを心から願います。
しかし、私は近い将来ウッドショックが内装材にも波及すると予測しています。内装材の原材料として主に使われているMDF(中比重木質繊維板)と集成フリー板の供給量が減少していて、日本国内の在庫不足が発生すると予想されるからです。
将来がどうなるかは誰も答えをもっていません。コロナウイルスの感染拡大がどうなるかは誰にもわかりませんし、ウッドショックもどのように収束するかは誰にもわかりません。現代は予測不能の時代です。
そんな時代にどのようにして対応していったらいいのでしょうか。私は、仮の予測をたててみて、実際にものごとが発生したら修正していくしかないと考えます。仮の予測をたてて準備しておくことは大切です。それでも予定通りにならないことはいくらでもあるでしょうし、対応の修正を迫られる局面がたくさん出てきます。
対応の修正を迫られたときに、周囲といかに協力できるかが大切だと考えます。私たちの周囲には多様な強みと背景をもった人たちがいます。どれだけ広い範囲で協力をお願いできるかが大切です。自分と必ずしも同質ではない相手の背景や心に配慮して、対話によって未来を創造する力があれば、予測不能の時代にも対応できると考えます。
S様邸で実現した無垢材でつくる大型パネルができたのは、事前に準備してあったからです。2018年12月に早稲田大学で行われた大型パネル公開施工実験を見学して、無垢材で大型パネルをつくる場合の問題点は寸法精度だと気づき、4面背割りなら寸法精度の問題を解決できると考え、製材工場に「大型パネルの案件が出た時にはよろしくお願いします」と話していました。実際に大型パネルの希望が出たときには少なからず驚きましたが、準備してあったから実現したのです。
対話によって未来を創造する力をつくっていくためには、多様な強みを持った人との交わりを自分から求めて行動していくことです。自分と考え方が必ずしも同じではない人と交わることこそが、最も重要な成長と学習の機会になります。
私は一生に一度しかない局面が近い将来訪れると思っています。まずは心の準備をしておいてください。何が起こるかは予測不能ですが、変化はチャンスだと前向きにとらえて行動すれば、私たちにとって「よかった」と思える結果が出ると確信しています。
私にとってS様邸の見学は、単に皆さんが製作にかかわった
製品が住宅の中でどのように使われているかを見ただけ
ではなく、社員の皆さんの力で実現した初めての取り組みが
たくさん詰まっている住宅だからこそ、
皆さんと一緒に見学できてよかったです。
今回の見学は私たちの将来につながります。
時代の変化に応じて、お客様から発せられた
「こんなことできませんか」に取り組んでいくと、
試行錯誤の中で「こうしたらもっとよくなるのでは?」
という発想が生まれます。この発想を仕事の中で実行して
製品に反映させることができると、お客様からの評価が上がり
仕事が俄然(がぜん)面白くなってきます。
納入された製品の実物を見て、より高度な
「こんなことできませんか」が出てきます。
また、試行錯誤の中で工夫が生まれます。
この繰り返しが皆さん自身の成長につながり、
皆さんの成長が会社の成長につながります。
よく、仕事の報酬は仕事といわれます。
自分にとって初めての仕事、大きな仕事をやり遂げると、
その結果をみてより難易度の高い仕事のお話を
いただくことがあります。
S様邸で大型パネルを上棟した日に、
「次は全部杉でやりたいね」とお客様からお話をいただきました。
時間のかかる話だと私自身は思っていましたが、
私の予想よりもはるかに早く次の大型パネル物件の
お話をいただきました。どうやったら全部杉で建てられるか
試行錯誤を続けた結果、8月30日に土台のみ桧、構造材は
全て杉の大型パネル物件を無事上棟することができました。
仕事の報酬は本当に仕事だと実感しています。
時代の変化は実に速いです。個人としても、会社としても
時代の変化への対応を求められる局面が数限りなく訪れます。
その局面で、「どうにかしてやってみよう」と自分の持てる力の
全てを使って取り組んでいく姿勢を続ける人には、
すぐにではなくても、結果として「仕事の報酬は仕事」が訪れます。
ぜひ、社員の皆さんにも成長実感を味わってほしい。
当社の将来に私は期待しています。
「おかえりモネ」は自然との共生、つながりがテーマになっていて、
私はスケールの大きさを感じています。主人公が周囲を振り回す
のではなく、周囲の状況に振り回されていく中で工夫をして
状況を変えていく様子が演じられていて、共感しています。
「森は海の恋人」として知られている通り、一見関係ないと
思われる森林と海が実は密接につながっています。
自分とかかわりがある、つながっていると思えるものは
大事にする反面、自分につながりが感じられないものは
粗末にしてしまうことがよくありますが、
実はすべての物事はつながっています。
皆さんは、自分の身の回りにあるものにつながりを
感じられますか。私たちは過去の世代と将来の世代の
両方とつながっています。過去の世代の人たちがいなければ
私たちの現在はありませんし、まだ見ぬ将来の世代の人たちに
とっては、現在の私たちの働きが将来を大きく左右します。
私たちには過去の世代に対する感謝が欠かせないだけではなく、
将来の世代に対しての責任も感じることが必要です。
どれだけ広い範囲を考えられるか、どれだけ長い時間軸で
考えられるか。それがつながりをもとうとする範囲を
大きく左右します。自然とのかかわりを意識できる人は、
考える範囲が広くなり、時間軸も長く考えるようになって、
自分も周囲も豊かになっていきます。私たちの仕事は
自然の産物である木材を扱っています。山で長い時間を
かけて育った木材を扱うのですから、木材が育った山や、
樹木が育った歳月とのつながりを感じながら仕事をすることが
私たちの将来を明るくする方向に向けます。
現在木材業界で話題になっているウッドショックは
ヨーロッパやアメリカと日本市場のつながりが
「いかに安い木材を輸入できるか」が中心になってしまったために
発生したものです。新型コロナウイルスの感染状況によっては
今後東南アジアなど他の地域と日本の間でも同じ状況が発生します。
私はウッドショックを繰り返さないためには、地域内での
つながりを培(つちか)うことが大切だと考えます。
海も山も空も水を通じてつながっているように、
すべての物事はつながっています。周囲を振り回すのではなく、
周囲に振り回されていく中でも工夫してつながりをもち、
自然とのかかわりを意識することで考える範囲が広く、
時間軸が長くなり、私たちの人生が豊かになることを期待しています。
最近、知名度が急に上がったと感じています。先週土曜日に中大規模木造建築プロ養成講座の運営のお手伝いをしていた際に、講師の先生から「木村さんのセミナーを聴いた人から評判を聞いて、一度お会いしたいと思っていた」とお話がありました。講師の先生からそんなお話をいただけるとは思いませんでした。
講演先では「木村さんの情報が一番正確」というお話をいただきました。私が情報を発信する姿勢を利己的ではないと評価していただけてうれしく思います。お客様に状況を知って少しでも安心していただきたいと思い、ほぼ毎日情報を発信し続けています。
私個人の知名度が上がると、当社の知名度も上がります。知名度が上がるのは良いことですが、弊害もあります。今月、私の発言が予期しない形で業界紙に記事として掲載されました。私から見ると、「発言の意図は正確に伝わってはいますが、そこまで書きますか?!」という内容でした。よくある政治家の失言ってこういうことなのか!と、自分がその立場にたってみて初めて理解しました。
知名度が上がると発言力が高まります。発言力が高まれば高まるほど、私は私心を無くして他者にとって良いことは何かを考えて発言する姿勢を続けることが大切だと考えます。
お金と違って発言力に形はありません。限度もありません。無限大です。形のないものは積み上げていくのに時間がかかる反面、失うのは一瞬です。
頭のいい悪いは頭の回転が速いか遅いかではありません。いいことを考えるのが頭の良い人、悪いことを考えるのが頭の悪い人です。
自分の好都合は他人の不都合になることが多いですから、自分の好都合がいいことだと思って行動すると、他人に不都合を押し付けるようになり、悪いことを考えるようになります。逆に、他人にとっての好都合を考えて行動すると、良いことを考えるようになります。普段から良いことを考えている人はチャンスをつかむことができて、発言力が高まると私は考えます。
にわかに注目を浴びる立場になってしまって少なからず驚いていますが、せっかくいただいた知名度上昇のチャンスをどれだけ生かせるか、自分の力でやれるだけやってみたい。それが結果として自社の発言力・存在感を高めることになれば、社員の皆さんにとっても価値がある。そう思ってもらえるまでやり続けたいと私は考えています。
今回の物件に関して、私は何が施主にとって一番良い選択か、何が一番施主のためになるかを第一に考えて行動しました。当社の都合よりも、施主のためになるかどうかを優先させて温熱環境に強い工務店さんを紹介しました。木造大型パネルで上棟することになったのは望外の結果です。
私は0から1を産むことは、1から1000に増やすよりも難易度が高いと思っています。杉の柱でつくる大型パネルが0から1を産むことができたのも、関係者のみなさま全員に「やりたい」と賛同していただき、タイミングに恵まれたおかげです。心から感謝申し上げます。
話は変わりますが、今月、ウッドショックに関連したオンラインセミナーで3回講演をする機会をいただきました。ウッドショックと言われる状況に関して情報発信をしてほしいという依頼を受け、どんな情報を発信したら工務店さんに喜んでいただけるか、試行錯誤を続けながら工務店さんに向けて情報発信を続けていたところ、私が発信した文書を読んで「オンラインセミナーで話してほしい」と依頼があり、5月7日に初めてオンラインセミナーで講演しました。
情報発信を始めたときにはほとんど反応がなかったのですが、出し続けているうちにたくさんのコメントをいただくようになりました。誰もが、何か行動したときにはすぐ反応がほしいものですが、自分が思うほどすぐには反応されないものです。反応がないからといって行動を止めてしまうのではなく、反応がなくても情報を発信し続けているうちに、自分が予想するよりもはるかに多くの反応をいただくようになりました。
情報は出せば出すほど集まってくることを実感しています。
自分の都合を優先させるのではなく、まずは相手に尽くす姿勢で行動していると、最初は反応がなくても、続けているうちにやがて大きな変化が訪れます。目先反応がないから、損してしまうからといって止めるのではなく、やり続けることが私たち自身の成長につながります。会社は社員が成長するための舞台です。皆さんが成長することを心から期待しています。
さて、第3次ウッドショックについてメディアの報道が相次いでいます。これからさらに報道が増えて社会問題化すると思いますが、いつどのように収束するのかはまだ誰もわかっておらず、神のみぞ知る状況です。
ウッドショックについての情報を出してほしいという声にこたえて、公開範囲を限定してウッドショックについての記事を書き続けています。今後どうなるのかを心配しているお客様に安心していただきたいと思って記事を書き始めたのがきっかけです。
記事を書き続ける中で見えてきたのは、今まで買い手市場だった木材がウッドショックで一転して売り手市場になったときに、会社の本質が明らかになることです。
これまで長い間、木材は買い手市場でした。安くさせるために競争させて叩いて買う、納期を至急、即納と指示して、自社の都合を優先して上から目線で私たち木材業者に接してくるお客様もいらっしゃいました。
それが一転して材料を持っている者が一番強いといわれる売り手市場になった現在、木材業者側からお客様の選別が始まっています。長い間購入していただいている「おなじみさん」のために自社でできることの全てをあげて木材を確保する会社もある一方で、
自社にとって都合の悪いお客様との取引を見直す動きも相次いでいます。
先月から今月にかけて、当社の仕入れ先から「材料の入荷が少なくなります。今ある在庫を提供しますので買っておいていただけませんか」という申し出を相次いで受けました。当社の普段の姿勢が評価されたことに感謝して、多少値段は上がってはいましたが全量購入しました。
ウッドショックのような非常時にこそ、普段の姿勢が試されます。誰に対してでも「礼を正す」ことは欠かせません。いつどこで何がおこるかわかりませんし、いつどこで誰とつながるかもわからない時代です。出会いの機会を大切にして、「礼を正す」姿勢で人に接していると、将来予想もしない場面で役にたつことがあります。
今の状況がいつどこで元に戻るかはわかりませんし、永遠に続くことはありません。売り手市場になったときこそ、「礼を正す」姿勢でお客様に接することが、長い間には自社の利益につながります。お客様、仕入れ先のみなさまのおかげで当社の今日があります。社員・関係者の皆さんの将来を良くしていくために、「礼を正す」を徹底させましょう。