ベンチ前で自軍の選手とするハイ・タッチを連想する人も多いだろう。
自軍の士気を上げるために大事な儀式だ。
だが、今回はもう少し言葉の解釈を広げて、「本物を体験する」ことを
ハイ・タッチと呼ぶことにする。
今月28日、吹上市場で「第2回木とのふれあいまつり」が行われた。
うちの社員の皆さんも多数来てくれた。この場を借りて御礼を申し上げる。
総入場者数は関係者を除いて約1600人にものぼった。
その中で私は「木工作コーナー」の指導員をしていた。
あらかじめプランターや椅子などの形にカットしておいた杉材を買って
もらって、自分で釘を打って完成させるコーナーだが、このコーナーが
予想以上の人気で、プランターのキットが完売してしまうほどだった。
私は子供時代、図画工作が苦手だった。もし自分の子供時代に
木工作コーナーがあったら真っ先に逃げ出しただろう。
しかし、今の子供たちは意外と木工作をやりたがる子が多い。
釘の打ち方を知らない子も多かったが、打ち方を教えてあげると、
自分の指を金づちで打ちながらも、自分でできるようになり、
自分の作品を喜んで持ち帰る子が多かった。
親子連れで来た人は、両親とも工作に参加して「意外と難しいですね」と
言いながら、一生懸命釘を打つ姿が見られた。皆楽しそうでよかった。
毎日木にふれている社員の皆さんの中には、
休日まで木材を見たくないという人もいるだろう。
だが、吹上市場、木工作コーナーの盛況を見ていると、
「木に触れたい」と感じている人は私たちが想像するより遥かに多く、
また、強い意志がある。特に、子供に木工作をしてもらうことは、
木とのふれあいを体験させるよい機会だ。
自分で苦労して作ったものには愛着が沸く。
ホンモノを自分で作ること(=ハイ・タッチ)を体験してもらうことは、
便利さに流されやすい現代において、
ほんものの価値を知る大事な経験だと感じた。
来年以降も吹上市場のイベントは続くだろう。「継続は力なり」であり、
毎年行うことで知名度も上がってくる。実に意義あるイベントだった。