月1回の会議で、設計者、プレカット工場、
工務店、森林組合等のメンバーで埼玉県産材を使って100年もつ家の
モデルプランをつくり、埼玉県民のみなさんにもっと県産材を使って
もらおうという主旨だ。
この会議に出ていると、勉強になることがたくさんある。
先日も、家の構造についてこんな話を聞いた。
「今の家は筋交いや金物を入れて強度をあげている。確かに筋交いや
金物を入れた部分は強くなっているが、それは点で支えている構造で
あって、家全体が強くなったわけではない。実際、地震が起きた場合
金物や筋交いは耐えられても、それ以外の部分が破損したり、はずれたり
しているケースがある」
筋交いや金物は確かに強度を上げる。地震のような大きな力がかかっても
その部分は動かない。だが、動かない部分があるために他の部分に
より多くの力がかかってしまう。100年持つ家を考えた場合に
柱や梁などの部材自体の耐久性がないと、金物や筋交いが地震に耐えた分、
他の部分に力がかかってしまうため、壊れやすい。
昔の在来木造住宅は金物を使っていない。そのかわり、建物全体で
家を支えるようになっている。例えば、八丈島の住宅は台風が毎年の
ように来るため、風の力で多少建物が動いてもいいように
基礎の束石を広くとっている。実際、台風などで家が多少動くことが
あるそうだ。金物や筋交いはないけれど、その分建物全体で家を支えていて、
家全体の耐久力は強い。
実際に毎日私たちがやっている仕事は、筋交いも金物も使用した家が
ほとんどだ。私も筋交いや金物が必ずしも悪いとは思わない。
だが、金物や筋交いによる強度はその部分だけを支えていて、
家全体の強度にはつながらないケースがある。「金物があるから大丈夫だ」
という考え方は怖いと思う。
ここまで家の構造の話をしてきたが、会社経営にも同じことが言えるのでは
ないだろうか。強い部分だけで全体を支える経営は意外に弱い。
各部署、各社員個人が全体で会社を支えるという考え方をする組織こそが
強い組織であり、現在のような不況への対応力のある組織といえる。
うちの会社もそうありたいものだ。