私が社長になって、常務の立場とは違うなと感じたことがいくつかあります。
まず、私の机に回ってくる書類の量が増えました。
今までは第一事業部関係の書類だけが回ってきましたが、
昨年12月からは第二事業部や山林部関係の書類も
回ってくるようになりました。
次に、お伺いするお客様の数が増えました。
今までは第一事業部のお客様だけを訪問していましたが、
今年からは第二事業部のお客様も新年のご挨拶に訪問してきました。
そして、新年会に出る回数が増えました。
中国木材㈱さんやナイス㈱さんの新年会に
初めて出席し、名刺をたくさん交換しました。
私の顔を知ってもらう良い機会でしたし、
木材業界全体がどんな状態なのかを知るためにも良い機会でした。
業界の新年会に出席して感じたのですが、
どうやら今年のキーワードは「杉」ですね。
なぜ、「杉」がキーワードになるかというと、米松の間に杉のラミナを接着した
中国木材さんの「ハイブリッド・ビーム」や、
表面と裏面だけラワンの単板を使い、芯の単板に杉を使った「複合コンパネ」、
そして、ラジアータパインの代わりに杉の単板を貼り合わせた「杉LVL」など、
杉を使った商品が急激に増えてきたからです。
今まで杉にあまり縁のなかった第一事業部でも
杉を多く扱う年になると予想しています。
杉が多く使われるようになった理由は3つあります。
1つは外材の輸入量が減ったことです。
中国、インドなどの建設需要が増えたために、
今まで日本が輸入していた木材の多くが中国へ輸出されるようになりました。
アメリカ国内もハリケーンの復興需要もあって、需要が旺盛です。
そのため、日本への輸入量が減ってきていて、輸入木材の単価が
高くなりつつあります。
それならば、供給過剰になっている杉を使おうと、
商社をはじめ木材業界全体が杉に注目しはじめたのです。
2つ目は価格面です。杉を使った複合コンパネがオールラワン
(表から裏までラワンの単板を貼り合わせた合板)のコンパネよりも
安くなりましたし、杉LVLの単価もラジアータパインのLVLと
変わらなくなりました。価格面で杉に魅力が出てきたため
メーカーは杉の使用量を増やしています。
セイホクさんの石巻工場では、既に原料の25%が杉になったそうです。
当社山林部も、杉の曲がり材を合板工場に供給する予定です。
3つ目は、ホワイトウッドの耐腐朽性に対する不安です。
ホワイトウッドの集成管柱は、杉の管柱の代替品として広く使われてきました。
確かに、初期強度はホワイトウッド集成管柱が杉の人工乾燥材を
上回ることが多いのですが、ホワイトウッドの耐腐朽性は「極小」です。
経年変化に不安があり、大手ハウスメーカーのホワイトウッド離れが
始まっています。ところが、代替品となるべき欧州アカマツ管柱の
単価が高騰したため、杉の人工乾燥材に需要が向かい始めています。
月刊誌「食品と暮らしの安全」2月号に
「腐りやすくシロアリに弱い「ホワイトウッド」に注意!」という記事が出ました。
ホワイトウッドの実態について詳しく書いてあります。
各事業所に冊子を置きますので、見てください。
外材が入ってこないという消極的な理由ではありますが、
木材業界が国産材に力を入れ始めたことは良いことです。
国産材を使って、森林を循環させ、森林による二酸化炭素(CO2)の
吸収量を増やすことは日本の国策
(林野庁がすすめている「3.9GREENSTYLE」サンキュー・グリーンスタイル)
に沿っていますし、皆さんが毎日仕事をしていることが社会全体にとって
価値のあることだという証明でもあります。
流れは変わり始めました。今まで山に捨てていた曲がり材を合板用、
燃料用として利用することが、全体的な杉の価値を上げて、
山林部の存在価値を高めることを期待しています。
他事業部の社員の皆さんも、資材置場で複合コンパネや
杉LVLを見たら、山林部が伐採した杉が入っていると思ってください。
山林部で伐採している皆さんのためにも、杉を使った商品をより多く扱って、
杉が見直され始めた流れに乗ろうではありまませんか。
投稿者 無垢材・造作材の木村木材工業(株) : 2006年01月31日
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