最近、建材に使われ始めた素材の一つにポリ乳酸があります。
トウモロコシを原料にしていて、原料に石油を使わない、生分解性をもつプラスチックです。
(ポリ乳酸のことを、コーンファイバーと呼んでいる建材メーカーがありますが
コーンファイバーというと、食品添加物用に使われるトウモロコシの外皮を
原料とした食物繊維と誤解されますので、コーンファイバーと呼ぶのはやめたほうが
いいと思います)
ポリ乳酸は安全性が高いとされていて、弁当の容器や、生鮮食品の包装、農業用の
シートフィルムなどに使われています。
私は、このポリ乳酸を以前からずっと脅威に感じていました。
それは、シートラッピング用のプラスチックとしてポリ乳酸を使われたら
怖いなと思っていたからです。
しかし、トウモロコシに関する状況は大きく変化しました。
燃料用のエタノールをつくる原料として、トウモロコシが使われ始めたからです。
アメリカでは、エタノール工場の増設が相次いでいて、飼料用のトウモロコシが
エタノールの原料に転用されつつあります。
私は、食べ物を燃料に使うのは反対です。食べ物が欲しいという人と、
車に乗りたいから燃料が欲しいという人のどちらを優先するべきでしょうか?
燃料を優先すべきではないと思いますが。同様の理由で、ポリ乳酸の原料として
トウモロコシを使うことも、良いとは思えません。
石油を使わないプラスチックであることは評価しますが、食べ物を犠牲にして
プラスチックとして使うことには、大いに疑問を感じます。
そう遠くない将来、石油は手に入りにくくなります。そのための代替品として
ポリ乳酸を考える人も多いでしょうが、世界人口の増加→食物不足が予想されて
いるだけに、食物であるトウモロコシを原料にするポリ乳酸は、石油由来の
プラスチック同様、できるだけ使いたくないですね。
ポリ乳酸を、植物由来のプラスチックとして、CO2削減に貢献すると宣伝している
製品が多くありますが、その一方で、ポリ乳酸を使うことで、食物を
プラスチック製造のために減らしている現実も知ってください。
石油由来のプラスチックよりは良いと思いますが、ベストの選択ではありません。
ベストの選択は、食べ物に転用できないもので、かつ再生可能な資源を
使うことではないでしょうか。
投稿者 無垢材・造作材の木村木材工業(株) : 2007年03月22日
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