連日30度を超す暑さの中での毎日の仕事、本当にごくろうさまです。
私も工場内で毎日働いていますが、屋外での作業で何度も熱中症になりかかりました。
くれぐれも、熱中症や夏バテには気を付けて、健康な体で夏を過ごしてください。
今月、ホンダカーズ神奈川中央の相澤会長にお会いする機会があり、お話しを伺いました。
一番印象に残ったのは、相澤会長が、「何一つ不自由なく育った人は不幸だ」と
おっしゃっていたことです。ご自身の生い立ちを、「不遇に育てられてよかった」と
いえる人はなかなかいません。この考え方こそが、今日の相澤会長をつくった基盤の
一つだと思います。
興味のある方は相澤会長の著書「サービスの底力!」を図書室においておきますので
ぜひ読んでみてください。
さて、今月からカナダツガ原材料の節や曲がり・割れなどの欠点を一枚ずつ見て、
一番有効な部分を多くするためにどこで切るかを決めて線を書く、
「すじ入れ(きりや)」をしています。先月も書きましたが、
木材業界の原点である「歩留り」を上げるためです。
私は入社当時、会長(当時の社長)が「すじ入れ(きりや)」をする手伝いをしていて、
会長がどこで切るのか、何を判断基準にしているのかを、材料を運びながら見ていました。
会長はよく「きりやは多次元方程式だ」と話していました。そのわけは、
様々な寸法の材料を取り合わせることが、歩留りを上げるからです。
十数年ぶりに「すじ入れ(きりや)」をやってみると、
会長が話していたことや切る判断基準を思いだします。
「すじ入れ(きりや)」は、与えられた原材料の中で、どれだけ目的の材料を取れるか、
どれだけ使える部分を多くできるか(歩留りを上げられるか)が仕事のポイントです。
一丁ずつ違う表情を見せる原材料を見ていると、木目のまっすぐな材料もありますが
木目がもめている材料や 大きな節のある材料、「あて」の木目が全面に入っている
材料もよく見ます。全部使える材料もあれば、使える部分のほとんどない材料もあります。
同じ切り方をする材料はまずありません。いわば「十人十色」ならぬ、「十丁十色」ですね。
私は木目を見ると、その木材が育ってきた過去を想像します。
木目が曲がっている材料からは、日光を求めて曲がった方向に成長しようと
している様子が感じられますし、木目がもめている材料からは、
強風にさらされながらも何とかして成長しようとする樹木の意思を感じます。
数十年、時には百年以上の時を経て成長してきた樹木の一部が、
私たちが毎日目にして、触れている木材です。
木材が育ってきた過去に、心から敬意を表します。
「すじ入れ(きりや)」に限らず、当社の仕事は感情しだいで
結果が大きく違ってくる仕事です。木材は天然資源なので、
自分の思い通りに材料が取れるとは限りません。
仕事ですから時間の制約もあります。そんな時、思い通りに取れなかった
材料に対して「なんで思い通りにならないんだ」と思うか、
「長い間大変だったね。できる限り有効に使うからね」と思うか。
一本一本に対しての差は小さくても、長い間には大きな差が出ます。
私は材料に対する感情と、周囲の仲間に対する感情はかなり近いと感じています。
周囲の仲間に対して思いやりを感じさせる人は、材料に対しても思いやりを感じます。
古いもの、程度の落ちるものを先に使うことは、新しいもの、良いものが
後に残る良い循環です。新しいもの、良いものから先に使えば、
古いものが残る悪い循環に向かいます。
限られた時間の中で、一番良い選択を常に追求するためには、
思い通りに行かない時にどう思うかが分かれ目です。
相澤会長の言葉を聞いていて、また、「すじ入れ(きりや)」をしていて、そう感じます。
投稿者 無垢材・造作材の木村木材工業(株) : 2014年07月31日
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