「本物の窓枠」は表と裏の両面から水蒸気の挟み撃ちにあっても
枠全体が呼吸して水蒸気を通します。それでいて、表面から来た
結露水に対しては表面に浸透した荏ゴマ油が撥水性をもって
いますので、跳ね返します。使われる樹種のベイヒバ自体も
耐久性の高い樹種ですので、長持ちします。
適切な保守がされれば、さらに長持ちします。
(なお、ベイツガはベイヒバよりも耐久性が劣ります)
前項でも書いたように、窓枠や玄関ドア枠は、表と裏の両面から
水蒸気の挟み撃ちにあう過酷な条件にさらされます。
従来の窓枠はウレタン塗装することで表面を保護し、結露水の
影響を受けないようにしていました。確かに表面の結露水からは
保護されますが、裏面に接しているコンクリートから発生する
湿気に対しては、裏面を塗装してあればよいのですが
裏面を塗装していなかったために腐食することがありました。
また、シートラッピングについてもアングルピース面
(アルミサッシとの接触部)や裏面に化粧シートを貼ることで
結露水の影響を少しでも避けようとしていますが、
残念ながらどんな材料でも必ず劣化します。
化粧シートもその例外ではなく、特に日光に当たったり
高温になる場所で使われた化粧シートは劣化が早く、
表面に凹凸ができたり、隙間から入った湿気のために
芯材が膨張したり、腐食したりして長持ちしませんでした。
これに対し、「本物の窓枠」は湿気から枠を防御するのではなく、
湿気を通すことで長期間使っていただける耐久性を保とうという
発想から、柾目の木材と蜜蝋ワックスという組み合わせを採用しました。
柾目の木材では、表面から裏面まで年輪が貫通しています。
また、蜜蝋ワックスに使われている蜜蝋は膜をつくりますが、
蜜蝋の膜は呼吸を妨げません。荏ゴマ油は枠全体に浸透し、
表面に来た水(水蒸気ではありません)を跳ね返す撥水性を
もっています。
表面から来た水蒸気は裏面まで貫通しますし、裏面から来た水蒸気も
表面まで貫通します。枠内部の湿度が枠が接している空気の湿度よりも
低ければ、周辺の空気から水蒸気を吸収します。一方、枠内部の湿度が
枠が接している空気の湿度よりも高ければ周辺の空気に水蒸気を
放出します。この吸収、放出を何度でも繰り返すことによって
室内の湿度調節に貢献する一方、長持ちする耐久性を実現しています。
ベイヒバは輸入時に防カビ処理(アンチステイン)をしません。
なぜなら、ベイヒバ自体が耐久性の高い樹種なので、防カビ処理を
しなくても、カビが生えにくいからです。
従って、ベイヒバ+蜜蝋ワックスの組み合わせは自然素材だけで
できた材料となり、揮発性化学物質(VOC)がごく少ない材料となります。
自然素材だけでできた材料ですから、廃棄時にも土に還すことができます。
持続可能な社会をつくるために、住宅の長寿命化が叫ばれていますが、
「本物の窓枠」は住宅の長寿命化に貢献できる枠材です。
逆に、シートラッピング材は住宅の長寿命化を考えたときに、
耐久性に劣るために障害になる材料だと考えています。
投稿者 無垢材・造作材の木村木材工業(株) : 2005年05月23日
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